これは大都市サンパウロの人混みに、すぐに紛れてしまうような、ごく普通の主人公3人の友情と日常を描いた作品です。サンパウロはブラジル経済の原動力という複雑な社会の枠組みの中で、時間に支配され、テクノロジーの進歩とともに、都市空間を再活性化しようとしている街です。この現実によって、職場など社会的な集団に充満する、個人的な意志や日々の夢は、粉々に砕かれるのです。


主人公たちは3人一緒に、この空しさを、恍惚と退屈で紛らわそうとしています。いつの時代にも、若者は、退屈からの脱却を求め、独りになることに恐怖をおぼえます。楽しむことを強いられる社会の中では、快楽の欠如にこだわる関係が作られます。物事が、うまくいっているように見えても、『形あるものは、全て無に帰す』。その時がきて、初めて何が大切かに気づくのです。