イントロダクション

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由緒あるシネマテークが、ついに閉鎖。
勤続25年、映画ひと筋のホルヘが踏み出す新たな1歩とは...。

両親と暮らすホルヘ(45歳)は、とあるシネマテークに勤めて25年。フィルムの管理、作品の選択、プログラムの編成から映写、果ては客席の修理を一手に担い、ラジオでシネフィル向け番組を担当して、会員をつのる日々。映写機材は古く、シュトロハイムの「グリード」の上映では、館長自らマイクを持って、作中の詩をスペイン語でボイス・オーバーするアナログな上映館ながら、ホルヘは、秘かに思いを寄せる大学教授のパオラに、誇りを持って、「25年間、毎日、ここにいる」と言う。
だが、ここ数年、観客は激減し、建物の賃料も8ヶ月滞納していた。何とかせねば、と焦るホルヘだが、館長もスタッフも老朽化した機材のことで頭がいっぱい。誰もホルヘの訴えに耳を貸さない。
ある日、ついに立ち退きを迫られ、出資元の財団からも、利益が出ないまま続けるわけにはいかない、と通告される。シネマテーク以外の仕事を知らないホルヘは、思わずバスの中で涙する。
ついに閉鎖の日、途方に暮れるホルヘの頭の中に、突如、「駅馬車」のワンシーンが響き渡り、映画(=人生)を生きることに向かって足早に歩き始める。髪を切り、25年の人生が詰まった黒い鞄を置き去り、そして...。
原題「La Vida Util」には、「耐用年数(賞味期限)」という意味と「生き甲斐のある人生」という意味がある。映写機の耐用年数と共に、フィルムの時代が終わりを告げ、ホルヘのシネマテークでの日々も終わる。でも、人生は続く。これまで観た、そして、これから観る映画と共に。

監督:フェデリコ・ペイロー
脚本:イネス・ボルタガライ、ゴンサロ・デルガド、アラウコ・エルナンデス、フェデリコ・ペイロー
撮影:アラウコ・フェルナンデス
キャスト:ホルヘ・ヘネリック、マヌエル・マルティネス・カリル、パオラ・ペンディットほか
2010 | ウルグアイ=スペイン | 63分 | モノクロ
日本語字幕:比嘉セツ
後援:駐日ウルグアイ大使館
協力:セルバンテス文化センター東京
配給・宣伝:Action Inc.