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5月7日(木)ラテン!ラテン!ラテン!本日の上映作品

12:00 「聖者の午後」

14:30「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

16:45「地中海式 人生のレシピ」

巷ではゴールデン・ウイークが終わったようですが、
特集上映は、まだまだ続きます~。

今日の1本目は、16本の中で唯一のブラジル映画

「聖者の午後」。よく「聖者の行進」と言われますが、

「聖者」とくれば「行進!」と言いたくなる気持ち、

分かります。

舞台は現代のサンパウロ、主人公は30代前後の3人。

(今、気づきましたが、3本目の「地中海式~」と

同じく女性1人に男性2人という構成です)

tres

また、よくある構成だと言われますが、こちらは

一組のカップル(ルアラとルイス)とその友人(ルカ)。

3人とも色恋沙汰よりも、今の生活を何とかせねば、と

思っているのにどうしていいのか分からない。

学歴もないし、仕事もないし、あっても続かない。

ルアラだけは、現実的で、お金をためて旅に

でる計画を実行するため毎日、熱帯魚のお店で

働いているのですが、恋人のルイスは、仕事が

続かない上に、再開発で住んでいるところも

追い出されそうな崖っぷちにいます。

ルアラは、ここではないどこかへ

連れて行ってくれる男性の出現を妄想する

ようになります。

suiso

サッカーのワールドカップやオリンピックで

社会が動いているのに、そこから落ちこぼれた

30代の姿を描いた作品で、監督もプロデューサーも

30代で、サンパウロ出身。

監督は、国の政策の恩恵からはずれた、30代と、

すぐに下流に落ちそうな中流という、数は

多いのに外からは見えない層を主人公に

したかった、と言っています。

いま、ブラジルでは汚職に抗議する大規模な

反政府デモが起こっていますが、

その根っこは、この3人のように、学歴も

仕事もない30代が大変多いこと。

ここには派手な抗争もサッカーもサンバも

ありませんが、この3人が自分の人生に

嫌気がさしていても、3人を見守るばあちゃんと

ばあちゃんが飼っている、のんきな陸ガメの

おかげで、現実から少し離れられる時間と空間を

与えられて、つかの間、息ができることを感じました。

ブラジル映画の中では異色中の異色ですが、

DVDの予定もないので、ぜひ、劇場で!

2本目は、今日も「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」
昨日も、たくさんの方に観ていただき感謝しています。
すでに2度観て下さった方も…。

「内戦やフランコ時代を知らなくても、よく分かるし

この圧力は今の日本にも通じるものがある」と

いう感想をいただいております。

「抑圧された中でも愛を貫くというのがスペイン的」
というご感想も。

この作品でゴヤ賞とサンセバスティアン映画祭女優賞を
受賞したマリア・レオンが演じたペピータが、素朴で
敬虔なクリスチャンから、芯の強い女性になっていく
姿も見所です。

内戦直後の女性たちの姿がここまで描かれた作品は、

これまで皆無でしたので、ぜひ、この機会に!

voz2

3本目はスペイン映画「地中海式 人生のレシピ」

こちらは、同じスペイン映画でも、バルセロナの

小さな町が舞台で、笑えて楽しくて、家族って

どんな形でもいいじゃない、という思い切り

ぶっとんだ作品です。

女性1人に男性2人で、こちらはイケイケ

どんどんの女性に男2人が振り回されながらも

何が幸せなのか、を見つけて行く物語です。

dieta

だから誰も死にません。だいたい女性1人、

男性2人だと、2人の男のうちの1人が

死んじゃう(「突然、炎のごとく」)か、

失意のうちに去ってしまうのですが、この映画では、

一旦、去っても、また戻って来る、という

スペインならでは、いや、カタルーニャならでは

かも?な物語で、世間から何を言われようが、

自分たちにとっての幸せを求め続ける3人が主人公です。

迷走する3人を助けるのが、食堂をやっている

お父さんですが、このお父さんも面白いので、

ぜひ、注目してみてください。

こちらのオリストレル監督は、アート系映画作家が

多いカタルーニャ出身ですが、

フランコ時代に禁じられていたコメディの

復活のために映画を作り続けると言っています。

何でもあり!な、この作品、楽しんでいただければ

嬉しいです。