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「コードネーム:カルロス 戦慄のテロリスト」

フランスのオリヴィエ・アサイヤス監督作品
コードネーム:カルロス 戦慄のテロリスト」が
今月、WOWOWで放映され録画したのを昨日、観た。
3部5時間半のテレビ版ミニ・シリーズのほう。
ゴールデングローブ賞のミニ・シリーズ作品賞を
受賞したらしい。
165分の映画版もあるはずなのだが、う~ん、これを
縮めてどうする?って気がしないでもない。
でもなあ、主演のエドガー・ラミレスが、これで
ドン!とメジャーになってくれるかも、と
思っていたので、日本で公開されないのは、ちと残念。
Carlos 予告編

エドガー・ラミレスは、ご存知、ベネズエラ出身で
父ちゃんが軍人だったため、幼いころから各国を
転々とし、母国語であるスペイン語のほか、英語、
フランス語、イタリア語、ドイツ語に堪能な俳優。
そして、カルロスことイリッチ・ラミレス・サンチェスも
1949年、ベネズエラ生まれで、裕福な弁護士でマルクス主義者だった
父の意向で、ロンドンとモスクワに留学し、語学に堪能だった。
本名のイリッチは、レーニンの名前をとったもので、
弟二人は、それぞれウラジミールとレーニンという名前。
三人そろえばレーニンのフルネームってワケね。
今回のミニ・シリーズは、1994年にスーダンで拘束されるまでの
20年間を描いている。スペイン語ではコードネームが
Carlos “El Chacal”だが、この作品の中では、一度も
「ジャッカル」は出てこない。
そして、すでにPFLP(パレスチナ解放人民戦線)に参加している
ところから物語は、始まっている。
公式サイト(英語版)で事件別にビデオクリップが観られます。
たとえば、1974年に日本赤軍3人がオランダのハーグにある
フランス大使館で人質をとったハーグ事件も。
クリップは突入の時からだけど、日本人3人が
フランス大使館に向かう車の中で関西弁しゃべってたんだよなあ。
それが、すごく気になった関西人のワタクシ。
でも、5時間半、飽きなかった。
ヨーロッパを拠点にネットワークを作る中で、
ちょこっとながらETA(バスク祖国と自由)も
出てくる。結局は様々な国々の思惑に翻弄されながら、
「革命家」よりは「テロリスト」、さらに「傭兵」へと
変わって行くカルロス。
後半では、太って性病にかかって、その手術を
受けた直後に逮捕されていたけど、
常に危険と隣合わせのテロリストにしては、
間が抜けてる感じなところがラテン系なのかも。
あれだけ人命を奪いながら、未だに
フランスの刑務所で服役しているとは、知らなかった。
とっくの昔に死刑判決がでたのかと思ったが、
ハーグ事件を初め、様々なテロ事件の証人として、
生かされているのかもしれない。
それにしても、まだ61歳とは。
フィクションとはいえ、当時の各国の動きが良く分かるし、
前半は息をつまるほど緊張感がある。
ただ、ベルリンの壁が崩れてからは、カルロスもグダグダに
なってくるのだけど、映像もフェードアウト多くて、何だか、
疲れて来た?って感じだった。
残念だったのは、「音楽にインスパイアされた」と監督も
言っていたはずなのに、歌詞にまったく字幕がついていなかったこと。
まあ、ちょっと、当たり前すぎ?のユパンキやパブロ・ミラネスも
かかっていたと思ったけど、エンドロールが見えないので、
すべては把握できず…。