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星野智幸著「無間道」

ずっと書こうと思いながら、今日までかかってしまった。
(今日っていつ?まだ、書き続けているぞ)
秋は読書、なんてサマセット・モームに
浸ってた私に冷水を浴びせかけた「無間道」
無間道/星野 智幸

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帯に「逝くな、生きろ」という文字がガツンと
あって装丁もすごくいい。
この言葉は、次回公開映画に通じることもあって、
こんな感じかなあ、と思いながら
読み始めたら、いや、すごかった。
読むのをやめられなくて徹夜しました、ほんと。
設定は、シュールなようで実はとてもリアル。
「逝く」ことが当たり前になる世界。
ソロで逝くのは寂しい、とかデュオれるよね、
と、ファッションの一つのように逝く人々。
そして公共サービスの手が届かないので、
遺体を見つけたら、葬らなければならないので、
みんな周りを見ずに歩く。
ああ、すぐに想像できてしまうのが
恐ろしい。
この本は表題の「無間道」と「煉獄ロック」
「切腹」の3部作。
それぞれが絡み合って、最後に、「おおっ」と
本を読む喜びを味わえる。
そして、読後、そこはかとなく恐ろしくなる。
これって、すぐそこにある未来か、はたまた、
現在起こりつつある状況なんじゃないか、と。
「逝く」ことに希望(?)を抱く人々に
絶望を与える物語だ。
この逝っても逝っても逝ききれない世界が
そこにある。
年間3万人も自殺する日本に慣れてしまった
私たちが、もう一度、考えなきゃならないことが、
この小説のそこここにある、と思う。
著者の星野さんは、メキシコつながりの
友人でもあるけれど、これまで以上に、
みなさまに推薦したい本。
最初にメキシコを舞台にして書かれた
小説「最後の吐息」から読者である私は、
日本を舞台にしてもラテンの香りがただよう
星野さんの物語を毎回、楽しみにしている。
これまでの著作はこちら。
私のお気に入りは
「在日ヲロシア人の悲劇」
「虹とクロエの物語」
「アルカロイド・ラヴァーズ」
最後の吐息/星野 智幸

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嫐嬲(なぶりあい)/星野 智幸

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アルカロイド・ラヴァーズ/星野 智幸

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