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チリ出身のラウル・ルイス監督死去

日本では「クリムト」で知られるラウル・ルイス監督が
現地時間19日、パリで亡くなった。感染症の肺炎が原因だが、
遺作となった「Misterios de Lisboa」がクランクインした
2009年末に肝臓がんだと診断され、2010年に肝臓移植を
受けていた。
享年70歳。
この監督が日本で紹介されたのは、おそらく
1984年の「ロック公国/ジャゾンIII世」が最初で、
つまり、フランスで撮り始めてからだが、
生まれは1941年チリ南部のプエルト・モン。
家族で首都サンティアゴに移り、15歳から
実験演劇グループに所属し、脚本を書き始める。
19歳で初めての短編「La maleta」(1960)を発表、
初の長編作「Tres tristes tigres」(1968)を撮ったのち
アルゼンチンで映画を学ぶ(チリでは法学部だったとか)
帰国した後、1970-73まで、アジェンデ政権下の
チリ国営ChileFilmsが、ルイス監督の作品を支援。
南米では最も有名となった「Palommita Blanca」を
完成した1973年、ピノチェトの軍事クーデターが勃発。
「Palomita Blanca」は1992年まで公開されなかった。
クーデター勃発後、アルゼンチンからフランスに亡命
したのが1974年。それ以来、フランスで映画を撮っているが、
スペイン・ラテンアメリカでは、70年代からチリで最も
有望な監督と注目され、1979年にスペインのアルカラ・デ・エナレスで
レトロスペクティブ上映が行われたほど。
遺作となった「Misterios de Lisboa」は、ポルトガルのテレビ用に
製作された4時間を越える壮大な物語で、日本でも2012年に公開予定らしい。
う=ん、でもなあ、チリを舞台に撮った「La noche de enfrente」が
ポスプロに入っているはずで、その後も企画があったから、
まだまだ、生きる予定だったんだろうなあ。
本人が一番、驚いているかも…。
2004年のロッテルダム映画祭でのインタビュー(スペイン語)

Misterios de Lisboa予告編

「クリムト」予告編

「見い出された時ー失われた時を求めてより」

Litoral, cuentos del mar

「Palomita Blanca」